専任の取引士(宅地建物取引士)は、宅建業免許を取得する・維持するために必ず必要となり、次の場合には、変更手続きが必要となります。
- 専任の取引士を交替する(就任・退任)
- 専任の取引士を追加する(就任)
- 専任の取引士が退職した(退任)
専任の取引士の変更手続きは、宅建業免許で必要となる変更届の中でも最重要の手続きです。
この記事では、専任の宅地建物取引士の変更手続きの注意点・流れ・必要書類などについて解説します。
専任の取引士が不在の場合は、その営業所では不動産取引ができないため、不在期間がないように対策しておくことが大切です。
はじめに専任の取引士を変更する場合の注意点を解説します。
専任取引士変更手続きの2つの注意点
専任取引士変更手続きで注意したい点は次の2つです。
- 専任の取引士が不在とならないように準備する
- すぐに専任の取引士になれる方か4つのポイントを確認する
専任の取引士が不在の期間がないようにすること
専任の取引士が不在の期間は、原則、不動産取引ができません。
また、専任の取引士が退職してしまった場合、2週間以内に代わりの専任の取引士を見つけなければいけません。
専任の取引士が会社に常勤で在籍していることは、宅建業免許の重要な条件の1つのため、不在の期間がないようにしましょう。
専任の取引士が不在の期間がないようにするために、できれば、宅地建物取引士証を持っている方が常に2人以上いる状態にしたいです。
すぐに専任の取引士になれるか4つのポイントを確認する
「宅建士の資格を持っていると言われたから雇用した」・「会社に宅建士が在籍しているから大丈夫」と思っても、すぐに専任の取引士になれない場合もあります。
専任の取引士となることができる方を確認してください
- 宅地建物取引士証を持っていること
- 専任できること
- 前の勤務先の専任の取引士ではないか
- 専任の取引士になれない項目に当てはまらないか
それぞれ順番に解説します。
宅地建物取引士証を持っていること
専任の取引士を変更する場合、新しく専任の取引士になる方は、宅地建物取引士証をもっていることが必要となります。
宅建士試験に合格しているだけでは、専任の取引士にすぐになることができません。
「宅地建物取引士試験に合格しているので、すぐに専任の取引士の交代手続きはできますよね?」
とご質問を頂くことがあります。
この場合、すぐに専任の宅地建物取引士となることができない可能性があります。
専任の取引士となるためには、次の2つが必要なためです。
- 宅地建物取引士試験に合格している
- 宅地建物取引士の登録をおこない、宅地建物取引士証の交付を受けている
「せっかく急いで雇用したのに、専任の宅建士になれない!」ということは防ぎたいですね。
このようにならないために、これから専任の宅建士となる方を雇用する予定の場合、面接の際には、宅地建物取引士証のコピーの提出を依頼しましょう。
また、宅地建物取引士証の持っている場合でも、住所や本籍などの登録事項に変更がないかも確認しておくとよいです。
住所や本籍などが変更となっている場合は、先に、その変更手続きを宅建士本人におこなって頂く必要があるためです。
宅地建物取引士の住所や本籍などの変更手続きは、発行している都道府県でおこないます。
そのため、遠方の都道府県で発行している場合は、時間がかかりますので、注意しましょう。
専任できること
専任の取引士となるためには、専任できることが必要となります。
専任できるというのは、常勤でその会社専属で勤務するということになります。
次に当てはまる場合は、専任とはいえず、専任の取引士となることができませんので、注意しましょう。
- 他の法人の代表取締役、代表者や常勤の役員となっている場合
- 一般的に営業時間に宅建業者の事務所に勤務することができない状態にある場合(例:会社員、公務員のように他の職業に従事している場合や、他の個人業を営んでいる場合など)
- 通常の通勤が不可能な場所に住んでいる場合
- 会社の監査役になっている場合
- 在学中の大学生の場合
- 勤務時間が営業時間の一部に限定された非常勤職員・パートタイム職員の場合
前の勤務先の専任の取引士ではないか
専任の取引士となる予定の方が、前の勤務先を退職する直前まで専任の取引士となっている場合は注意が必要です。
せっかく雇用できたのに、前の勤務先の専任の取引士をやめたという手続きがされていないと、こちらの変更届が提出できない可能性があるためです。
変更届をスムーズに提出するためにも、専任の取引士を雇用する場合は、「現在の勤務先で専任の宅地建物取引士となっているかどうか」を確認してください。
ただ、従業員の方は、ご自身が勤務先で専任の取引士となっていることを知らない・忘れている場合があります。
そのため、雇用予定の専任の取引士の方が前の会社に在籍している間に、次の確認をしておきましょう。
専任の取引士となっているか不明な場合 | 専任の取引士となっていないか勤務先に確認する (営業所の業者票で確認することもできます。 ただ、会社が提出している手続き内容が業者票に反映されていない場合もあります) |
専任の取引士となっている場合 | 退任する手続きを遅くとも退職するまでにおこなうよう伝えておく (できれば、在籍中に専任の取引士の交代手続きを済ませておくとよいです。後任の宅建士が見つからず、在籍していると装う場合もあるためです。) |
専任の取引士になれない項目に当てはまらないか
専任の取引士になれない項目に当てはまっていると手続きができません。
具体的には、下記の項目に当てはまらないか確認しましょう。
- 営業に関して成年者と同位置の能力を有しない未成年者。ただし欠格事由に該当しない法定代理人がいれば原則としてはOKです。
- 成年被後見人、被保佐人、復権を得ていない破産者
- 禁固、懲役に処せられた者
- 宅建業法違反で罰金に処せられた者
- 暴行、傷害、脅迫など暴力団系の犯罪で罰金に処せられた者
- 不正の手段で免許を取得した者(取消から5年間)
- 業務停止処分事由の情状が特に重い者(取消から5年間)
- 免許取消処分を受けた者(取消から5年間)
専任の宅地建物取引士をこれから雇用する場合は、面接の際に4つのポイントを確認しましょう。
続いて、専任の取引士の変更手続きのスムーズな進め方について解説します。
専任取引士変更手続きの流れ
専任取引士変更手続きは次の流れに沿って進めていくとスムーズです。
専任の取引士が退職する場合で、宅地建物取引士証を持っている方が会社にいない場合は、まず、宅地建物取引士を雇用します。
これから専任の取引士を雇用する場合は、面接の際に、宅地建物取引士証を持っているか必ず確認しましょう。
雇用した宅建士の社会保険の加入手続きと専任の取引士の変更に必要な書類を準備します。
書類が準備できたら愛知県へ変更届を提出します。
変更届の提出期限は、変更があった日から30日以内です。
期限内に提出しましょう。
加入している保証協会へ変更届を提出します。
以上で、専任の取引士の変更手続きは完了となります。
続いて、専任の取引士の変更手続きに必要となる書類について解説します。
専任取引士変更手続きの必要書類
専任取引士変更手続きの必要書類は次の3つのケースにわけて解説します。
- 専任の取引士が退職した(退任)
- 専任の取引士を追加する(就任)
- 専任の取引士を交替する(就任・退任)
①専任の取引士が退職した(退任)
専任の取引士が退職した場合の必要書類は次のとおりです。
②専任の取引士を追加する(就任)
専任の取引士を追加する場合の必要書類は次のとおりです。
必要書類 | 備考 |
業者名簿登載事項変更届出書 | 愛知県都市総務課のホームページからダウンロード |
略歴書 | |
専任の宅地建物取引士設置証明書 | 愛知県都市総務課のホームページからダウンロード |
宅地建物取引士証の写し | 宅建士の方にコピーを依頼 |
専任の宅地建物取引士の常勤する旨の誓約書 | 愛知県都市総務課のホームページからダウンロード |
常勤を証明する書類 | 健康保険証のコピーなど |
③専任の取引士を交替する(就任・退任)
専任の取引士を交替する場合の必要書類は次の通りです。